やみのころも
他人の評価が気になりだして、
苦笑いと嘘の自分を演じる自分が主人公の一人演劇。
誰かに認められたくて、
社会の1人としてカウントされたくて、
精一杯自分を要求するけど
失敗して自分を責めて、成功して嘘泣きして、
気がつけば自分で自分をやみのころもに覆っている。
やみのころもは他者から自分を守る薄い膜。
ちょっとしたことで剥がれて、また気付かぬよう気付かれぬよう自分で糸を編む。
誰かのふりをしている自分は、1人になるとすぐ自分の所在を探す。
錯綜した情報を拾い上げ勝手な己の解釈に苦しみ神話を創りあげる。
そして毎夜
やみに落ちた都市の暮れで本当の自分を演じる旅に出る。
テレビ、ゲーム、SNS、なんでも良い。
女は車の助手席に乗って都市の夜景に贅沢な絶望を見た。
大魔王ゾーマ