2018-07-10 yes ふうを切ったばかりのスパイスの香りが雨露に溶けて、どこか遠くまで届けてくれればいいのに。 ぼろアパートの一室で、男は汗をかいてしっとりした身を、その身を刺すような刺激を求めていたのかもしれない。 ときは2018年夏。浪漫派の男たちにとって、クーラーの冷気はてんでだめだという論調が、日本中で巻き起こる。 やれ火をたけ!やれ薪をくべろ! ほのおを絶やすな!肉を焼け! そとは日本列島を覆う分厚い雨雲が、強烈なプレッシャーを地上に打ち付ける