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それから次の旅路の準備をはじめた。
郵便番号のタトゥーと13カ国の紀行文を書こうと思う。
あたたかいコーヒーを飲みながら深く腰をおろし、iPhoneでグーグルマップを起動する。
僕の場合、その場所にある風景と地名と、身体それから内臓の記憶は密接にリンクしている。
簡単に言うと、マップに記された地名から、旅のルートを辿っていくと各々の記憶情報が頭の中で繋がっていくのである。
地図を見て身体と内臓からの応答をしばし待つ。
五分おきに休憩する。
腹を壊した。南京虫にかまれた。
美しく青い峰々をバスで越えた。
その先に小さな集落があった。そこで金をうばわれた。
晩飯はアボカドの刺身だった。醤油は4つ前のまちで買った。醤油はとびきりあまくて口に合わなかった。
など、
僕はこれやって記憶に深くアクセスするノーテーションを自然に身につけた。
24年の青春時代に幕を降ろそうと思う。
25歳は思いっきりニューになれるように。