ジュディ・オング
遠くのものをみると目が良くなる。
そう言われて育った。
家のベランダから両手足を使って手すりによじ登り、まだ見えない景色を得ようとした。
遠くには斜面がぎゅーっと一箇所に集まって山頂をなしている。眼下には家々。どうやら僕が住んでいたところは少し高いところにあったらしい。
山頂には電波塔が建っていた。電波塔は夜になると大きな赤い目玉を1つ、小さい目玉を1つ光らせる。夜、目を覚ますと目玉が無機質にこちらを覗き込んでいる。
これが僕の原風景なのだろう。
目は良かった。
そして、高校受験の慣れない勉強が視力を奪う。
しかし、視力ではない。たまには眼鏡を外して生活するのも悪くない。
今また遠くのものを見ようとしている。
僕にとって遠くのものとは、好奇心であり恐怖であり、憧れの象徴なのかもしれない。
何を遠くに設定するか。それが僕の創造の原点なのかもしれない。
遠くのものを見ようとする。
アメリカを見た。インドを見た。そして南米大陸を見た。次は、、